❹津和野だからこそ出来る『エネルギーとの付き合い方』とは?
純:津和野町は、去年『2050年ゼロカーボンシティ宣言』を行いましたが、それもまた今日のお話に繋がりますね。
久:そうだね。
純:再生可能エネルギーの積極的導入という流れでおそらく町側にもこれまでよりも動きが生まれると思うのですが、その流れで久富さんとしてはどんな動き方をしていくべきだとお考えですかね。
久:そこは、僕が元々行政の人間として動いていた経験がすごく大事になってくるって思っている。行政側の心理も、事業者・住民としての心理のどちらも分かるからね。
純:詳しくお聞きしたいです!
久:やっぱり行政側からすると大きな目標数値があって、そのためにこれをこうしなくてはいけないと論理的に計画を導いていくんよね。これは町を大きく、広く見ている行政がしっかり果たすべき役割。けれど、それが行き過ぎてしまうと事業者や住民からすると「勝手に計画が立てられている」と思ってしまい、反発したくなる。
純:僕だったら置いてけぼりな気持ちになって、途端に僕たちの声は結局届かないんだと思ってしまうかもしれません。
久:だから僕は『大きいを少なく』じゃなくて『小さいをいっぱい』な町への関わり方の橋渡しになれたらって思うんよね。
純:『小さく、多く』とはどんなイメージですか?
久:要は、町民一人一人や家族という小さな単位でもいい、多くの人がそれぞれのやり方で同じ方向に向かって歩んでいく進め方だね。
久:極端な話、大型の発電所を新しく作ってそこでエネルギーをまかないますと『大きい』動きに集中してしまうと結局一事業者と一部の人間で完結してしまって、町民にとっては人ごとになってしまう。そうではなくて、薪ストーブを我が家に入れてみたら自分たちが使うエネルギーについてちょっと考えるようになった。これが僕が目指していくべきだと思っている形。
純:なるほど。その小さな点が集まっていくことで大きな流れに繋がっていく、と。
久:そうそう。町民一人一人の声を集める、その声を反映する。津和野町の人口の規模感だからこそできることだと僕は思っているんで、薪ストーブを通じてその実践を僕は行っていきたいって思っている。