#2『薪と電気』

❸電気中心の暮らしの人が薪に目を向けるようになるためには?

純:そこで今、僕、思ったことがあるんですが。

純:多くの人たちが都会的な生活をしているこの日本で、ガラッと電気中心の生活を変えなくてもいいんだけれど、薪ストーブなどの身の回りで調達できるエネルギーの存在に目を向けてもらうためにどんなきっかけがあればいいんだろうって。

久:難しい問いだねえ。

純:どこかに依存しすぎるエネルギーのあり方をゆっくりでも変えていくために、薪が身近にある僕らには何ができるんだろうと考えちゃいます。

久:そうだねえ、ひとつは、この田舎に住んでいる人たち自身がもっと田舎の良さをうまく利用するってことは必要だと思っていて。こんなに手に取れるところに資源となる山がたくさんあるじゃない。

純:そうですね。

久:でも、それは活用せずに電気をたくさんいただき、ホームセンターで灯油を買ったりしているわけで。もちろんその暮らし自体を否定するつもりは全くないし、むしろ薪ストーブ一択の暮らしって不便だもん笑そうじゃなくて、現代の暮らしの中で一つのエネルギーに頼りすぎてしまうリスクを分散させませんか?というのが僕が伝えたいこと。だから、薪ストーブ屋さんとして僕にできることを考えた時、やっぱり手軽に薪が買えるような構造を作ることなんじゃないかなと思うんよね。

純:いくら頭では『依存しすぎはちょっとなあ』と思っていても、結局毎日の暮らしの中で手軽に薪を手に入れることができないと、結局何も始まらないですもんね。

久:そうそう。だから僕は「ここに行けば薪が手軽に買える」という場所を作って、行政とも連携する中で地域内で資源を循環させる仕組みを作れたら最高だなって正直思ってる。

純:そんな町ができたら何か災害あって電気が止まった、ガスが止まったってなっても安心できますね〜。いいなあ。

久:とはいえ、その実現のためにも薪に対しての需要と供給のバランスが取れないとね。補助金のおかげで薪ストーブを導入する人が増えても、みんながみんな自分で木を切れるわけではない。とすると木を切れる林業従事者の人たちとの協力も必要になってきて、彼らが生計を立てられるような経済の循環も作らなくてはいけない。

純:確かにそうですね。そのバランスを整えるために行政を含めて色んな人たちの協働は必須。

久:みんな目指すところは同じなかで、さて自分はどんな役割を担ってそのバランスを整えていくのかということを考えるよね。そこで僕は、補助金などの制度によって薪ストーブが少し導入しやすくなっている現状を踏まえて『薪がより気軽に手に入る』ための仕組みづくりをしたいって思ったんよ。

純:道の駅に併設の薪棚があるとかいいですね!

久:それいいね~。薪のピックアップステーションとかできてくるとかね。そんな場所ができることで、都会の人から見たときに「津和野は薪がある暮らしが手軽にできるらしいよ」となってくれることで、少しずつ都会の人たちにも一つのエネルギーに依存しすぎない暮らしを見てもらえるようになるんじゃないかなと思うよ。

<次ページ:『小さいをいっぱい』>

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