❹自給力のある暮らしを、薪ストーブから
純:薪ストーブ屋さんとして日々過ごされる中で、役場に勤めていた頃から『変わらない考え』はありますか?
久:そうね、『自給力のある暮らし』がこれからの世の中で必要になるということかな。そのためにも『いかに地域の資源を循環させるのか』が大事なことかなと思っていて。
久:例えば農業だったら、法人を作って大きい組織で野菜を作るよりも地域の小規模の農家さんが集まって色んな野菜を作ることの方が面白いし、資源は地域で循環すると思っているんよね。
久:林業もそう。何千万円もする林業機械を買って使用するのではなくて、町に住む一人ひとりが自分で木を切って、山を綺麗にして、その結果として薪をもらって、自分の暮らしのエネルギーに変える。
純:その暮らしがまさに『自給力のある暮らし』だと。
久:そういうこと。薪ストーブというものに出会い、そんな暮らしを営んでいく人を増やしていくことが、僕の薪ストーブ屋さんとしての目的であり、使命なのかなと思うよね。
純:なるほど。薪ストーブというものは、暖を取る・ゆっくりとした時間を過ごすためだけのものではなさそうですね。
久:そうそう。僕はよく「安心な暮らしを増やす」という言葉を使うんじゃけど、電気やガスのように『誰かから安心を与えてもらう』だけではなくて、『自分が安心できるものは、自分で生み出す』ということがこれからの社会で大事になるのかなと思っているね。
久:みんなで木を切って、薪を作るような地域があったら、その地域は本当に『強い』。
純:そうですね。停電しましたとなっても、みんなの薪があるから暖は取れるし、明かりもあるし、料理もできる、と。
久:まさにそれが『安心できる、自給力のある暮らし』なんよね。
久:だから僕は薪ストーブ屋さんとして地域に薪ストーブを増やすことで、仮に電気がなくなったとしても地域の人たちが安心して過ごせる世界を作りたいって思うかな。その地域は生きる力がとっても強い。
純:そんな町があったら住みたくなる人、多くなりそうですよね。
久:そうそう。自分たちが安心できる暮らしのために山の木を切る、適切に管理された山は獣害・災害リスクが減る、それでいて自分たちはエネルギーの確保ができる。津和野だからこそできる暮らしでもあるよね。
純:その意味で津和野には拡がる可能性が大いにあるんですね。