❸手間がかかることの豊かさ
純:僕自身も薪ストーブを久富さんに入れてもらったのですが、一番最初の火入れの瞬間はなんか特別なものを感じますよね。
久:そうそう。薪ストーブ屋さんって、もう本当に幸せなんよ。
純:もっと聞きたいです!
久:だってね、火を入れたら皆さんが満面の笑顔でワクワクした表情になるんよ。そして、1年後にメンテナンスに行って掃除すると、綺麗になった薪ストーブを見てまたすごい喜んでくれて。最後には「はい、みかん持って帰りんさい」とか言ってくれるんよ。
純:いいですね・・・。
久:正直、こんな幸せな商売はないって思うんよね。
純:僕も久富さんにメンテナンスに来てもらった時には、なんだかより薪ストーブに愛着が湧きましたし、薪ストーブには不思議な力がありますね笑
久:今の世の中、ボタン一つで暖を取ることなんて簡単じゃない。
純:そうですね。
久:その中で、薪作りから始まって、薪を積んで、いざ火をつけたらいちいち薪をくべなきゃならんっていうのが薪ストーブじゃけえ、それはキチンと伝えるようにしてる。
久:「あなたの今までの生活がガラリと変わりますよ。」と。そんな暮らしを面倒と思うのか、幸せと思うのか。
純:大事なことですね。
久:いざ設置したけど「めんどくさい」って言われたら、やっぱり可哀想じゃんね。「薪ストーブ、いいですよ!」っていう押し売りじゃなくて、しっかりその部分を伝える、そんなことを最近は特に意識してるかな。
純:僕も日々の仕事が忙しい中で『薪の世話をする』というクッションがあることで、深呼吸して一息入れることができている気がしますね。
久:じゃろ。特に僕自身、役場時代が本当に時の流れが早くて。
純:とっても忙しいイメージがあります。
久:本当に目が回るほどで、そんな中で週末に仕事がない時に薪ストーブの前で本を見とったら、めちゃくちゃ時間がゆっくり流れるんよ。
純:わかります・・・。ビールやコーヒーを飲むのもいいですよね。
久:わかる。薪を眺めている時間もそう、薪をくべる時間もそう。そんな時間を作れるってことがとっても大事。せかせかしすぎる暮らしでは、ストレスが多くかかるよね。
純:僕、今まさにせかせかした暮らしになってますね笑 でも、薪ストーブがそんな暮らしの中で『間(ま)』をストンっと作ってくれているような感じがします。
久:そうだね。レコードなんかと近いかもね。携帯でタップして音楽がすぐに再生されるのもええけど、どれをかけようかなと選んで、針をスッと落として音が鳴るまでの時間を楽しむみたいな、ね。